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6月合同企画【相合い傘】

第2章 黒子のバスケ/氷室辰也


「「「「お願いします!!」」」」



土曜日の午後、私達陽泉バスケ部は練習試合に来ていた。
相手校は秋田県大会でトップ10に入るレベルの学校だ。
とは言っても、私達とは違ってスピードオフェンスを主としたプレイスタイルなので、相性はあまり良いとは言えないが。



「向こうは誠凛と似たスタイルだ。そしてお前らの弱点はスピード。つまり、どういうことかわかるな?」
「「「はい」」」



今陽泉のメンバーは、キャプテンの氷室先輩と『キセキの世代』のムッ君こと紫原敦のWエース、そして劉先輩に副キャプテン、他2年生を主として強化している。



「どうだ。このチームの課題は何だと思う」
「そうですね…。紫原君がチームに積極的になった割には、どこか勢いが足りないと思います」
「やっぱりそうか…。やる気は十分感じられるんだがな」
「なんですかね…」



課題というものは付きもので、県でトップにいたとしてもやはり何かが足りないようだ。
その”何か”がわかればいいが、私にはさっぱりわからない。



「(帰りに氷室先輩に聞いてみようかな…)」



私はそう思いノートに『勢い』と書いて丸をした。



「みなさんお疲れ様です」
「ありがとー」



一人一人にタオルと今日のスコアを渡す。
パッと見ていくと、バテ気味の人がチラホラいた。
その中にはムッ君の姿もある。



「ムッ君大丈夫?」
「んー、なんかこの時期ダメなんだよね〜」
「みんなそんな感じだね。湿気のせいかなぁ」
「あーそうかも〜」



ムッ君は本当に気怠そうにフラフラしていた。
他の選手も何人か、ベンチに座り込む人がいた。



「みなさん、怠いかもしれないですけど先にストレッチ済ませてください。筋肉が固まっちゃいますから」
「「はーい…」」
「ちんやって〜」
「あーもー、脚だけね!」
「ありがと〜」



やれやれ、梅雨や湿気だけにやられてちゃダメだな。
まったく。
…みんなも見習ってほしい。
キャプテンを。



「アツシ、エースがそんなことでどうするんだ?」
「あ〜室ちん〜。室ちんは怠くないの〜?」
「ああ。日頃の鍛錬の成果かな」
「ふーん」



自分から聞いておいて興味無さそうにするとはどういうことだ。
と、心の中で思いながら、片付けを始めた。
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