第1章 花寵腐月
修平が改めてあたしの腰を持ち直す。
「イきそうだ・・・。」
「うんっ!」
「ほら、桜見てろよ。」
「さくら・・・。」
意識を強引に窓の向こうに持っていく。車の音、親子の声、それにちょっぴり風の音も聞こえてくる。
お花見、しなきゃ。焦点が合わない目で、どうにか窓を凝視する。
窓はあたしの喘ぎ声で白く靄がかかっていた。
顔を近づけると、窓がさらに白くなった。
「綺麗だな。」
修平の、素直な声。
「・・・うん。」
白い窓を見つめて、あたしも心の底からそう答えた。
修平が桜を見てくれたなら、あたしと一緒にお花見してくれたなら・・・それでいいや。
「出るっ!」
修平の悲鳴。震える体。子宮で感じる脈動。
「うわ、あ・・・。」
それはまるで、強引に満たされるような感覚だった。
吐き出された精子が、あたしの体の中にじんわりと、じんわりと、染み入るように広がっていった。