第1章 俺と神
ある日のことだ。
俺は、ボロボロの状態で街をほっつき回っていた。
何故ボロボロかって?
んなの、喧嘩に決まってんだろ。
こんなんいつも通りだ。
あぁ、あと親からの暴力とか。
まぁ、簡単に言ってしまえば、いつも通りの、なんの変哲もない日だったんだ。
だがーー
「おい、そこの貴様!」
…誰だよ、初対面に貴様とか、失礼なんじゃねぇの。
俺はどっちかっつーと強面な方だから、そーゆー失礼な輩をビビらせようと、睨みつけてやった。
だが、その声の主は驚きもしない。
あろうことか、
「おぉ、おぉ、実に可愛らしいではないか。犬にしてやろうぞ」
などと言って、頭を撫で回しやがる。
いやフザケんな!誰が犬だ!!
「なんなんだよ、てめぇ!つか、頭撫でんな!!」
「てめぇ?妾に向かって、なんて口を利くのじゃ!下僕のくせに、躾がなってないのぉ」
「いつから俺はてめぇの下僕になったんだよ!!いやその前に!!誰だてめぇは!!」
俺が叫ぶと、そいつは不敵な笑みを浮かべながら、ドヤ顔でこう言った。
「妾は神、この日の本の神じゃ!」
「……あぁ、そうすか。おつかれっしたー」
俺は逃げるようにその場を去る。
こういう頭イってる輩には、関わんねぇのが一番だ。
だが、そいつは俺の肩をガッシリ掴むと
「こらどこへ行く!妾の下僕なのだから妾の側に居ろ。そして、妾の願いを叶えよ」
「だーかーらー、いつから俺はてめぇの下僕になったんだよ!!」
「そんな事どうでもよいではないか。さあ!行くぞ下僕!」
「ちょ、おい!離せこら!!」
奴の手を払い後ずさる。
なんだコイツは。マジで頭イってる。
ラリってんじゃねぇのか。
「だいたい、神とか信じられっかよ!俺に構うんじゃねぇよ!」
「ほう、妾が神であることを疑うと言うのか?よかろう。そこまで言うのなら、証拠を見せてやろうぞ」
奴はそう言うと、チラリと横目でギラギラと光を放っている店を見た。
そして
「あの店、もう少しで燃えるじゃろうなぁ」
「…はぁ?てめぇ、デタラメ言うのもいい加減にしろよ!んなのあるわけーー」
俺の言葉の途中で、バリーンッとその店の窓ガラスが割れ、そのすぐ後に炎が飛び出してきた。
店の中に居た奴らは逃げ惑い、傍観者は騒ぎ立てる。
「………マジ、かよ……」