第4章 選ばれた存在。
「ん.....?あ、いらっしゃいませ〜」
ドアをゆっくり開け、初めに目と耳にはいったのは、色素の薄い金髪の美人さんの声と、目をこすりカウンターに座り、顔をクッションに埋めている姿だった。
どうやら、扉の鈴の音で目を覚ましたようで、名残惜しそうにクッションを顔から離して、立ち上がっている。
ゆっくりと背伸びして立つと、目を半分だけ開けて、
「お好きな席へ〜」
とだけ言ってキッチンに消えてしまった。
「......彼女は?誰??」
「あ〜まとめて説明するよ。」
紀伊は、勿体振っているようで、
「なんか注文しよ?」
と笑って、結構厚いメニューを私に渡した。
私は取り敢えず従い、適当にペラペラとめくる。
ケーキやパスタ。オムライスにドリンク。
途中面白いメニューもあって、少し笑いがこぼれる。
すると
「笑えるの?それ。」
と、金髪美人は苦笑いしながら、テーブルに2つ水を置いた。まだ心なしか、目があまり開いていなく、眠そうだ。
そんな彼女を見て、紀伊は金髪美人より深い苦笑いを顔に浮かべた。
そして紀伊は、はぁ...と浅くため息をついて
「俺だ。俺。紀伊涼介だ...阿保。」
と立ち上がり、金髪美人を小突きながら言って
「わるいな......。」
と私に意味のわからない謝罪をした。
「......?知り合い?」
私は、この場の状況についていけず、思わず口に出した。