第7章 恋愛論Ⅵ
新田くんの相手をしてドッと疲れた。もう1限目が始まっている時間。何にもする気が起きなくて、図書室に来てしまった。ここはクーラーが効いているから。
「・・・はあ、」
ここに来てもすることなんてない。私は誰もいない、ただ時計の針の音だけが響く部屋の広い机にうつ伏せになった。
「さぼりかよ、不良少女。」
この時間、1人っきりのはずなのに頭の上から声が聞こえた。顔を上げると、沢山のプリントを持った橘先輩の姿。
「せ、せんぱい・・・!」
今一番会いたくない人の出現に、座っていた椅子から転げ落ちそうになる。
「何してんだよ。」
「あ、えっと・・・この虚無な世界について革命を起こそうと・・・」
「お前、今すぐ虚無の意味を言ってみろ。」
「・・・・・・、」
「まじかよ。」
「まじです。」
先輩がプリントを抱えたまま少し呆れたように笑った。私が知っている橘先輩とは、違う笑い方だけど、それでもまだ私の中の「好き」が動く。