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久世くんには恋愛論を

第5章 恋愛論Ⅳ







「宮原ぁ、なんで昨日シカトしたんだよう!」





 教室の開いた窓からは早朝の涼しい風。晴れ渡った青空。まさに清々しい朝。こんな爽やかな朝は、つい早めに学校へ来てしまう。

 いつもは耳障りに感じるセミの鳴き声、諸星くんの語尾がのびるような独特な話し方、それさえも今の私にはこの爽快な朝を迎えるが故のオプションとなってくれることに感謝する。





「あら、ご機嫌よう、諸星くん。」
「一人で新しいこと始めんなよぉ!」
「うるさいな、貴婦人モードの邪魔しないでよ。」
「なにそれ!俺もやりたい!」
「じゃあ馬で。」
「ヒヒーンって、ばか!★」
「……はあ、同じ人間とは思えない。」





 ノリツッコミをする諸星くんをよそに、私は頬杖ついて目を瞑った。




『体育館裏に来てほしいんだ、』



 昨日橘先輩に言われた言葉を思い出すと、先輩の香りも一緒に思い出す。やだ私ったら…ハレンチ!



「宮原、俺が言うのもなんだけど、お前も結構イッてるよな!」


 そんなこと、片手にサッカーボールを持って爽やかに言うな、キラキラ馬鹿。








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