第4章 恋愛論Ⅲ
『 胸に手をあてて、
1人で考える時間を作ったら?
たまには本を読みなさい、本を 』
久世にそう言われたので、放課後、図書室で読書なんかしている私です。
手にした本はスタンダールの『恋愛論』。
『愛情には一つの法則しかない。
それは愛する人を幸福にすることだ』
「………、」
その通り、その通りです、スタンダール。や、スタンダールさん。今日からは私の師として敬いたい。哲学=難しいもの、のイメージだった私にもわかりやすい言葉。
橘先輩の、幸せ。先輩は何をしている時が一番幸せなんだろう。