第18章 恋愛論XⅣ
チャイムが鳴り、授業が始まる合図がなってもきょうちゃんは戻ってこなかった。
「あれ?宮原、日向は?」
数学教師のチカちゃんが私に席の空いた理由を問う。
「…ああ、いや、それが」
たぶんまだ紺野くんから逃げているに違いない。
「腹痛?」
「まあ、そんなとこです」
「…ふうん、そ。じゃあ授業始めまあす」
そう言って、いつも通りに授業を進めるチカちゃん。
…珍しい。あのきょうちゃんが。
どんなに高熱が出ようともチカちゃんの授業だけは欠かすことのなかった、あのきょうちゃんが。
いつもなら紺野くんなんてアッサリ巻けるのに。一体何があったっていうんだ、と少し不安になった。