第17章 episode Ⅳ 新田 光
中に入るとピアノの音色が聞こえた。
「ほら、話したでしょ?
14歳のピアノ上手いやつ」
「ああ、俺の親友?」
「あは、そうそ、お前らタイプ違うけど、
いいコンビになると思うなあ」
違うタイプ?まず自分のタイプがわからない。違うタイプと聞いて洸の顔が思い浮かぶ。…とりあえず、うざいな。
「茜、光来たよ」
りょーちんが話し掛けると、ピアノが止まった。
大きなグランドピアノから立ち上がって顔を出したのは、男の俺から見ても、整った顔立ちをした奴。
「茜とかやめない?ほら、蕁麻疹」
わざと袖を捲りあげてその白い腕りょーちんに見せると、隣に立つ俺に視線を向けて止まる。
「…だれ、」
「誰って!言ったじゃん!茜と同じ歳の!」
「…ほう、涼太さんがナンパしたの?」
「え、やだな、茜、やきも「頼むからそこで塩食ってろよ」
茜と呼ばれるそいつ、りょーちんが紹介したいと言ったそいつ、久世 茜(くせ あかね)はサラッサラのアッシュぽい髪色に、薄い色の瞳をした青年。その見た目とは正反対の口調で、なんだか変わった奴、そんなイメージ。
「茜くん、砂糖でもいーい?」
「まあ、よかろう」
りょーちんもだいぶ変わってはいるが。