第14章 episodeⅢ 小出政親
「小出先生、」
「…あ、ああ、なに、日向。」
「私、大丈夫です。」
「え?」
日向は他の生徒と違って、昔から大人びた生徒だったけど、最近はさらに…て、バカバカ、相手はいくつだっつーの。ロリコンかって。
「ちゃんと、生徒出来ます。」
日向と2人きりになった時、好きなことも許さない、と高校生相手にキツいことを言ってしまった。大人なら、上手く交わせるはずなのに。
「…うん、今を楽しみなさい、日向。」
「はい、先生。」
先生、今なら貴女の気持ちがわかる気がするんだ。
先生は俺のためにわざと、あんな終わり方にしたのかな、って。もしかして先生は、俺のこと…て。
先生、今も俺は貴女の背中を追いかけて、同じことをしようとしている。
これが正解かはわからないけど。俺と日向が、昔の俺と先生みたいな結末を歩むかはわからないけど。
今はただ、先生として、こいつらを見守りたい。
先生、感謝してるよ。
あの時はまだ子供で、
何もわからなかったけど。
ここまで俺を導いてくれたのは
初めて愛した貴女です。
『 貴女の後ろ姿ばかりを 』END.