第14章 episodeⅢ 小出政親
白い肌、滑らかなシルクのような背中を見つめその人をを呼ぶ。
「…せんせ、」
そう呼ばれて振り向くと、彼女の長い髪がその白くて綺麗な背中を隠す。
「起こした?」
「…いや、」
「そう、」と一言告げると白いシーツで身体を隠し、そのままベッドを離れる彼女のそれはいつものサイン。
「泊まっていかないんだ。」
「ええ、彼、帰ってくるの。」
「へえ、そうなんだ。」
「……ふふ、」
なぜか彼女が笑った。
「なに。」
その人は余裕のある、大人の女の目で俺を見る。
「ちか、もう一回、しようか。」
とわざと甘い声を出し俺の肩に両腕を載せ、露になった肌を恥ずかしげもなく刷り寄せる。
「彼氏、帰ってくるんじゃないの?」
そう言うとまた怪しげに笑って、大人のキスを唇に落とす。
華奢で、綺麗な、白い背中は近くて遠い。