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High Q!!!(ハイキュー短編小説)

第16章 50音の最初の2つを明日君に届けます。(月島蛍)


「ごめん、月島くん…」

「は僕に謝ってばっかりだね」


言われてみれば今日はそうかもしれない。
格好悪いところばかりを彼に見せてしまっているせいだろうな…。


「ねぇ、お兄ちゃん…お姉ちゃんさ、すごく優しいんだよ…かのじょにきっと向いてるよ…」


月島くんの背中で弱々しくヘラりと笑いながら言う弟の言葉に顔が赤くなってしまう。
私は無理矢理に話題を変えるため、貴斗のランドセルから貴斗お手製のあいうえお表を出した。


「貴斗!これ上手に書けてるね!先生も褒めてたよ!」

「うん、お姉ちゃんが教えてくれた『ぬ』も間違ってないでしょ」


苦手な『ぬ』の字も正しく書けている。
家で猛特訓していた貴斗を思い出して嬉しくなった。

「僕にも見せて」

「いいよー!お姉ちゃん」

「あ、うん」

私は広げるようにして月島くんに表を見せた。

「僕達の頃はこんな事しなかったような気がする」

「あ、確かに!おんなじ字をひたすら書いてた様な…」


小学生の頃はこうだったあぁだったと話しながら歩いているとあっと言う間に我が家の前に着いた。
こんなに月島くんと語り合ったのは初めてだなと思ったら少し胸がじんと熱くなった。

「月島くん、今日はホントにありがとう…助かったよ」

「…はさ、もう少し周りに甘えたら良いのにって思うケド」

「え…?」

「一人じゃどうにもなんない時は絶対あるデショ?」

「月島くん…」


思いがけない優しさに触れ、目頭が熱くなる。

どうしよう、嬉しい…。


「そんなんじゃ今度は自分が倒れるよ?」

「うん…気を付ける」

「わかればいいケド…荷物、先に置いて来なよ」

「あ、そうだね!」


月島くんから買い物の荷物を受け取り、先に家の中へ入る。
貴斗を引き取るためにまた玄関に戻ると二人で何か話している様子だった。





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