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High Q!!!(ハイキュー短編小説)

第16章 50音の最初の2つを明日君に届けます。(月島蛍)


寝ている弟の重さをちょっとナメていたかもしれない。

(こんなに重かったかなぁ……)

弟の成長の喜びを感じつつも、月島くんが来てくれたありがたみも痛感した。


「ん…お姉ちゃん……?」

「あ、起こしちゃったね…大丈夫?貴斗」

「頭、ちょっとだけ、いたい…」


ヨシヨシと頭を撫でてあげると貴斗はまた目を閉じた。


「月島くん、お待たせ…荷物ありがとう」

足元のおぼつかない私を見て眉間に皺を寄せた月島くんは座っていたベンチからこっちに来てくれた。


「代わるよ」

「でも、重いよ…?」

「ハァ…馬鹿なの?重いなら尚更、デショ」

「ごめん…ホントは助かります……」


そう言うと満足そうに目を細めて笑い、貴斗をおぶってくれた。


帰り道、月島くんは貴斗をおんぶしたまま買い物した荷物も持ってくれた。
私はと言うと自分の荷物と貴斗のランドセルだけ。


「一人じゃ絶対家に辿り着かなかったろうね」

「仰る通りです…」

「無理し過ぎ」

「でも…月島くんまで早退させちゃってごめんね、部活もあったでしょ?」


不安げに彼を見つめるとフイと顔を逸らされた。
本当は迷惑だったのかもしれない。
それはそうだよね…。

「授業は山口にノート頼んでるし、部活は今日は休みだから…平気」

「ありがとう……」

坂道に差し掛かっても余裕で歩いて登る月島くんはやっぱり男の子なんだと実感する。
貴斗をおぶるくらい何でもないと言わんばかりの涼しい顔をしていた。

綺麗な顔立ちだけど程よく筋肉もついていて流石運動部と感心してしまう。
背も高いし、それに加えて今日みたいにさりげなく優しい彼がモテるのも納得してしまう。


「…何?ジロジロ人の顔見て」

「あ、ごめん…月島くんがモテるのわかるなぁって思ってたの」

「別にモテてないでしょ、それを言うならの方が………いや、何でもない…」

「?」


坂を登り切ったところで貴斗が目を覚ました。


「お姉ちゃん…?あれ、いつもより高い……?」

「貴斗、大丈夫?」

横から声を掛けると漸くそこでおぶっているのが私じゃないと気付いたみたいだった。

「誰…?お姉ちゃんの、かれし…ですか?」

「ちょっ…!貴斗!!//違うよ!」

弟の失言に慌てて声を挟むも、月島くんは落ち着いていて…それどころか笑っていた。




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