第15章 水に濡れていれば真綿は燃えはしない。~葛藤~(及川・岩泉)
「って好きなヤツ変わりました?」
「………あ?」
「……国見ちゃんいきなり何ー?」
次の日の部活後、部室で一緒になった国見が突然言い出した事。
「ちゃんの好きな人は昔から飛雄だろ?」
「…な筈なんですけどね……最近話聞かないんでちょっと思っただけです」
「話って?」
及川と国見の会話を黙って隣で聞く。
国見には中学の頃から影山の相談をしていたらしいが、最近では全く話題が出ないと言う。
「あの四月の練習試合の時だって影山と会ったのに挨拶位でサラッとしてて…不思議ですよね」
「………」
及川の顔を盗み見れば、何満足気な顔してんだよ。
の気持ちが影山から少し離れたとしてもそれが俺達に向くとは限らない。
「オーイ、国見帰んぞー!」
「おー!じゃあ…お先に失礼します」
「うん、お疲れ国見ちゃん」
金田一に呼ばれ国見は一足先に部室を後にした。
及川は直ぐに俺の方に向き直る。
「どうしよう岩ちゃん、俺嬉しいかも」
「…歪みすぎなんだよ、オメーは」
は俺達の手で壊してしまった。
それは変えられない事実。
「あれ?一ちゃん、徹ちゃん?」
部室を出た後、校門に向かう途中とバッタリ出くわした。
「ちゃん今まで残ってたの?!」
「ちょっと課題に手こずっちゃって、図書室で調べながらやってたら遅くなっちゃった」
「こんな時間に一人は危ねぇだろ」
「日も延びたし…大丈夫かなって、ハハハ」
普段通りに笑うの顔を見ていると、さっきの国見の話とか昨日の抱かれてる時の顔とかがグルグルと頭を巡る。
気付けば俺は口を開いていた。
「もう影山の事好きじゃないのか」
も及川も目を丸くして驚いている。
それでも俺の口は止まらなかった。
「お前は、これで良いのか」
「………っ!」
「…岩ちゃん!」
「……っあ…」
及川の声に我に返り目の前のに目線を移して俺は酷く後悔した。
また、
俺はコイツを泣かせた。