第15章 水に濡れていれば真綿は燃えはしない。~葛藤~(及川・岩泉)
それから二日、とまともに話してない。
元々三年と一年だし校内でも会うなんて事は殆んどない。
「岩ちゃんがあんな事言うから…ちゃん、昨日も今日も会ってくんないじゃん」
頬を膨らませながら俺を睨む及川。
うるせぇ…俺だってわかってる、部活が休みの明日…アイツは一緒に帰らないかもしんねぇ。
今までよりももっと関係を壊したのは俺。
明日が来るのが怖いなんて思ってても時間は残酷に過ぎてしまう。
次の日、放課後になると早々に及川が俺の席へとやってきた。
「ねぇ、今日はファミレス寄って帰る?」
「あ?…あぁ、そうすっか……」
と帰れない、そう判断したんだろう。
一つ大きな溜め息をついて席から立ち上がった。
鞄を持って廊下に向かおうとすると声が掛けられる。
「及川ー、岩泉ー!お客さん!」
声のする方を振り向くと、もうしばらく会えないと思っていたヤツが立っていた。
「…?」
三年の教室に自分から来るなんて初めてだろうに。
は恥ずかしそうに俯いていて、その顔は真っ赤に染まっていた。
「ちゃん、俺達を迎えに来た…とか?」
「………////」
及川の問いには小さく頷いた。
「………っ」
胸が、痛い。
どんな思いでアイツはここに来たんだろう。
「徹ちゃん、一ちゃん…帰ろう?」
「うん、…って岩ちゃん?泣いてんの?」
「…!!!なっ!泣くわけねぇだろーが!クソ及川!」
涙は出てねぇけど、目頭が熱くなったのは確か。
三人肩を並べて帰れることが嬉しいからか、
が勇気を出してここまで来てくれた事が嬉しいからか、
こんな俺らを見てが笑っているからか。
「一ちゃん」
兎に角今はコイツの目に俺が映っている、それでいい。
to be continued…