第15章 水に濡れていれば真綿は燃えはしない。~葛藤~(及川・岩泉)
『あの日』から、部活が休みの日には決まって及川と二人でを抱いている。
あんなに嫌がっていたも今は泣かなくなったし、「嫌だ」とも言わなくなった。
「……いい加減放してやれよ」
「俺はエッチの後はイチャつきたいの、んーっ」
目を閉じて肩で息をするの頬に及川は何度もキスを落とす。
「オメーのはねちっこ過ぎてウゼェ」
「もーヒドイなぁ岩ちゃん!大事に大事にしてるだけなのに」
「…ん……一ちゃん、シャツ…ちょうだい…?」
息を整えながらが手を伸ばす。
俺は近くに脱ぎ捨ててあった制服のシャツを手に取りに着せる。
「岩ちゃんだってちゃんには激甘じゃん」
「ウルセェ、お前のせいでフラフラになってるからだろ!」
「俺のせいだけじゃないけどねー?」
「黙れ」
シャツのボタンを留めながらの身体を見る。
白い肌に無数に散らばる赤い跡。
その一つ一つがどっちの物なのかなんてもう誰にもわかんねぇ。
「…立てるか」
「…うん」
手を取ってを立たせる。
少し嬉しそうに笑うコイツを見るだけで胸が締め付けられた。
あの初めてを抱いた日、及川の話に俺は乗った。
それでを繋ぎ止められるって言うならそれでいいと思った。
「あ、そろそろ二人とも帰る?俺も行くよ」
「………早く服着ろよ」
俺の家や及川の家で過ごす日は二人でを送り届ける。
端から見たら面倒なこの流れもルールを破らない為。
最近は、と身体を重ねる度に思う。
これで良かったのかって。
「外…暑くなってきたね……」
7月に入ったばかりだと言うのに西日が容赦なく照っていて思わず目を細めた。
入学式から既に三ヶ月が経った。