第10章 告白の流れは思い通りにいかないって知った。(縁下力)
就寝時間には早く、何かするには少し遅いこの時間。ロビーの自動販売機前に集まっていたのは烏野二学年の田中、西谷、縁下。
話題は専ら女子について。
「力はなんであぁ自然に!且つ嫌がられず!マネージャーの手伝いが出来んだよ!」
「わかる!わかるぜノヤッさん!!」
「はぁ……」(さっさと部屋に戻れば良かった…)
やいやいと騒ぎ立てる田中と西谷に縁下は苦笑いしか返せない。
「はっ!力、お前っ…!まさか潔子さんと…と、と、特別な関係なんじゃねぇだろうな!!?」
「えぇーっ!!!!」
「田中うるさい、そんなわけないだろ…?!俺が好きなのは…!」
「何?何のはなし?」
珍しく剥きになって立ち上がった縁下の背後から突然が声を掛ける。
「////!!?」
「おー!今さ、力の好きな人が誰かって話に」
「ちょっ…///西谷!!」
「も気になるだろ?」
慌てる縁下を気にも留めず田中がを煽る。
「あの、力…好きな人いるの…?」
「え?」
田中も西谷も縁下ですらもは明るく話に乗ってくると思っていた。
だが、反応は真逆。
はどこか傷付いた様な顔を見せた。
そんな顔を見た縁下はの手を掴み、その場を離れた。
「…、ちょっと来て」
「力…っ?」
ポカンと訳もわからず取り残された二人は口を開けたまま縁下との背中を見送る。
「なんだ…?」
「力のヤツいきなりどうしたんだ?」
(あれは…もうこの後の展開読めるでしょ…)
ガコンッ
別の自動販売機の前でこの様子を見ていたのは赤葦。
買ったばかりのジュースに口を付ける。
「黒尾さんの失恋決定的だな」
明日の音駒戦に影響出そうとそこまで考えた所で、
(いや…木兎さんのが崩れるか…面倒くさい…)
自分のチームのキャプテンも彼女にメロメロだった事を思い出し溜め息をついた。