第10章 告白の流れは思い通りにいかないって知った。(縁下力)
その頃、縁下とはと言うと宿舎の屋上へと繋がる階段の踊り場にいた。
「たくさん歩かせてごめん、…」
「ううん、大丈夫だよ…」
「「…………」」
普段なら一番よく話している二人なのだが、今は上手く会話が続かない。
「「あの」」
話し掛けるタイミングが重なり更に気まずさが増したが、めげなかったのは縁下だった。
「…さっきの話なんだけどさ」
「うん…」
「俺の好きな子の話…」
「………」
返事はなかったがの目は明らかに答えを気にしていた。
それが縁下にも伝わっていた、だから縁下も誤魔化そうとは思わなかった。
「俺…!」
「私、力がすき…っ!」
「え…?」
「一年生の時から好きだったの!力に好きな子居ても私…ずっと好きだから!おやすみ…っ」
「…………」
言いたいことだけ言ってはその場を走り去った。
「…………」(へ…変な風に誤解してる…!それに俺告白できてないんですけど!!)
「…ちょっと待ってってば…!」
慌てての後を追って行く縁下が彼女を見つけた時には
「?どした?」
「具合悪いなら医務室で薬探すか?俺一緒に行くよ」
「それよりも俺が添い寝してやろーか?」
「「さ・せ・ま・せ・ん!」」
先程食堂でバトルを繰り広げていた澤村、菅原、黒尾に囲まれていた。
そんな状況に縁下は少したじろいだものの、意を決してその輪に近付いて声を掛けた。
「あ、あの……っ!」
「縁下?」
「どした?」
澤村と菅原が不思議そうに縁下を見つめる中、縁下はの手を取った。
「力…?」
からも戸惑いの声が漏れる。
「は…俺のか、彼女なので!すいません!」
「力…っ///?」
「…俺の好きな子がなら問題ないよね、行こう」
「…うんっ」
斯くして両想いになった二人だが、次の日の練習では縁下だけいつもよりハードメニューだったとかなかったとか…。
「赤葦…俺はもうダメだ……」
「ハイハイ、今度可愛い子紹介しますから」
「…マジで?」
と縁下の話はあっという間に広がり、木兎も赤葦の思惑通りになったのだった。
END