第9章 君とのkissの為なら何年だって待てる。(西谷夕)
「…159.3っと」
「よっしゃあーっ!伸びてるーっ!」
「はい、じゃあこれで終わり…部活行って良いわよ」
跳びはねて喜んでいた西谷がピタリと動きを止めた。
は気にも留めず机に向かう。
「先生」
「…部活、遅れるわよ」
「なぁ、先生」
「私も職員室に戻るから」
「……先生!!!」
西谷はの座っている椅子を引き自分の方へと向かせた。
西谷の強い目線が今日初めてとぶつかる。
だがはすぐに逸らしてしまう。
「……に、西谷くん…危ないでしょう」
「じゃあちゃんと話聞けよ!!」
肩越しに机に手を着かれ、は立ち上がることが出来ない。
「……どいて、西谷くん//」
俯きながら小さくは呟いた。
「…先生、俺言ったよな?先生の事好きだって!なんで逃げんだよ!」
「に、西谷…くん…!」
東峰と揉めて謹慎となったあの日、花瓶の破片で少しだけ手に怪我をしていた西谷をは保健室で手当てをしていた。
怪我自体は大したことはない、心の方がずっとズタズタになっている様だった。
は手当てが終わってからも何も言わずに西谷の側につき、落ち着くまでそうしていた。
『今は西谷くんが出来ることをしなさい』
は西谷に告げた。
その一言は西谷の中に大きく響き、謹慎中も目的を見失わずにバレーを続けることが出来たのだ。
『先生が好きだ』
その時に西谷は想いをを伝えた。
でもその日も今日と同じ様にははぐらかすだけだった。