第9章 君とのkissの為なら何年だって待てる。(西谷夕)
「先生ェッ!!」
大きな声と共に勢い良く保健室のドアが開かれた。
驚いて養護教諭のは持っていたボールペンを床に落としてしまう。
「…っ良かった!まだ居た!!」
そんな事などお構いなしに満面の笑みで話を続けるのは二学年の西谷夕。
「…西谷くん、静かに扉は開けてね、後ノックも」
「あっ…!さーせんっ」
初めて気が付いたように西谷は頭を思い切り下げた。
その様子を見ては小さく息をつき、落ちたボールペンを拾い上げた。
「せ、先生…俺だけすか?」
「?うん、そうだけど」
西谷はにここに呼び出された。
三月に校内で起こしたトラブルで謹慎中だった西谷は他の生徒と同じ日程で身体測定が出来なかった為、謹慎明けの今日早速は声を掛けた。
放課後の保健室ほとんどの生徒は各々の部活動へ行ったり帰宅したりしている。
「これが終わったら部活行くんでしょう?」
「ハイ!もちろんです!」
じゃあ早く済まそうね、とが器具を用意しに立ち上がると西谷の顔が一瞬曇る。
「じゃあ西谷くん、Yシャツだけ脱いでくれる?他はそのままでいいから」
「押忍…」
この人の中で、
あの日の告白はなかった事になっているのだろうか。
そんな言葉が西谷の頭の中をぐるぐると廻る。