第7章 童話パロディ『白雪姫』(月島蛍)
午後になり、小人たちが鉱山から戻ってきた。
「腹減ったー!さぁーん!今日の昼メシ……っさん!?」
いち早く家に戻ってきた西谷が倒れていた姫を見つけた。
「ちょっ!さん!?さん!!」
「西谷、どうした…?姫!?」
「大地さん!さんが!!」
澤村を始め、他の小人たちも集まってきた。
倒れている姫を家に運び入れベッドに寝かせる。
「大地……」
「…あぁ……もう…」
息をしていないと、澤村が告げると西谷が壁を思い切り叩いた。
「なんでだよ!なんでさんが…!」
皆が悲しむ中、一人少し離れた所から冷静に見ている小人がいた。
「…………」
(床に不自然に落ちてるりんご…もしかしたら)
その時、外から馬の鳴き声が聞こえた。
「やぁ!どーも♪僕は隣の国の王子だよ、実は道に迷っちゃってねぇ…」
「…なんかすげーキラキラした人来たな」
「あぁ…」
それは白馬に乗った隣の国の王子、及川王子だった。
「今それどころじゃねーんだ!大王様!」
「えぇ?…大王様じゃなくて王子だよ、オチビちゃん」
「姫が死んじゃって…っ」
半泣きの日向が指差した先を覗いて及川は首を傾げる。
「お姫様?どこにいるの?」
「「「…は?!」」」
振り返りベッドを見るとそこにいたはずの姫の姿がなかったのだ。
「あ、月島もいなくない?」
「あ」
菅原が気付いて見回すが月島の姿は見当たらなかった。
当の月島はと言うと、鍵の掛かる姫の部屋に姫を運び真っ白なソファに寝かせた。
(まだ、温かい…)
姫の頬に触れ体温を確認する。
そして抱きかかえるようにして起こし唇を重ねた。
「……起きて」
背中をトントンと叩く。その拍子に姫の口からりんごの欠片がコロリと転がり落ちた。
「けほっ…けほっ…ん………月島、くん?」
「…………」
「んんっ…?!」
目を覚ました姫に月島はもう一度唇を寄せた。
「つ、月島くんっ…///どうして…あの…っ」
戸惑いを隠せない姫は月島の肩を軽く押して答えを求める。