第44章 僕たちのポートレート。【縁下END】
今日練習に誘った事、本当は少し怖かった。
3年生がいた頃と全く違う、きっとまだ主将として頼りない自分を見せることになるから。
でも、彼女はそんな風に見てなかった。
「今だって、こうして俺をなんとかしようとしてくれてるだろ?」
「な、何とかしよう…とかじゃなくて、その、私、縁下くんの…力になりたくて、」
震える声で話すの手を縁下はそっと握った。
「…っ、」
「…………それ、俺の都合の良いように解釈していい?」
1歩、2歩と距離が縮まって。
俯いているの頭にコツンと縁下の額がぶつかる。
「それで良かったら、…顔上げて」
握られた手が熱い。
恥ずかしくて死んでしまいそう。
だけど、自分もちゃんと伝えたい。
「……………っ、」
ゆっくりと顔を上げたと縁下の視線が至近距離でぶつかる。
「………好き、です…………私も、」
それはとても小さな声。
縁下にだけ届いたの気持ち。
それでも、縁下に届いたのならそれで十分。
嬉しそうに微笑んだ縁下がぎゅっとを抱き寄せる。
外灯の下、そのまま二人の影が重なった。
まだ春が遠いこの場所で触れ合ってる所だけが、温かい。
END.