第44章 僕たちのポートレート。【縁下END】
「お待たせ」
「……!!」
「じゃあ…帰ろうか」
「……うん」
二人で肩を並べて歩く。
しばらく歩いた所で縁下が静かに口を開いた。
「……俺さ、まだ全然自信がないんだ」
「………?」
「主将として、みんなを引っ張っていく自信が」
「縁下くん………」
が感じた違和感。
その正体が今ハッキリとした。
自分に自信が持てなくて、怖い。
それは自身も昔から感じていた事。
だから、人と話すのが怖くなった。
だから、前髪で顔を隠した。
だから、写真に強く惹かれた。
でも、自分と縁下の明らかに違う所がある。
「……縁下くんは、強いよ…逃げないで、ちゃんと向き合ってる、から…私はずっと逃げてばっかりだった」
今日の練習を見て縁下の感じている事は何となくわかっていた。
自分だったら、きっと俯いて落ち込んでいる。
でも縁下は違った。
しっかりと前を向いて、主将としてみんなを引っ張ろうとしていた。
怖がる自分を奮い立たせて、しっかりしろって心で叫んで。
「澤村先輩と」
「…!」
が口にした澤村の名前に縁下はドキリと胸が鳴る。
「同じ様に…しようとしなくていいんだよ、縁下くんは、縁下くん、だから」
「…………っ、」
「……これ、見て?」
カメラを起動させて今日撮った写真たちを縁下に見せた。
スライドさせる度に写し出される写真には真剣にバレーに取り組む部員たち。
そして、スライドの手を止めたが笑顔で縁下に見せたのは、真剣な眼差しでレシーブを返す縁下の写真だった。
「……こんなに、熱い思いが感じ取れるんだもん…みんなが着いて来ないわけない」
だから、縁下には縁下らしくいて欲しい。
そう言っては小さく微笑んだ。
「……、ありがとう」
「あ…!いや、その、偉そうな事言って…ごめん…!」
「」
「……は、はい!」
「俺、やっぱりの事好きだ」
「………!!」
真っ赤な顔をして一生懸命に勇気づけようとしてくれてる、そんなが愛しくてたまらない。
「だって逃げてばっかりじゃないよ」
「……!」
「いっぱい頑張ってきただろ」
人と話す事、あんなに苦手だったのに。
少しずつ少しずつ、努力して向き合ってくれた。