第44章 僕たちのポートレート。【縁下END】
………………………epilogue
「うぅ……やばい…緊張が……!」
「練習は裏切らない、それは山口が一番わかってるだろ?それに大丈夫、俺の方が緊張してるから」
迎えた新人戦、会場に到着した俺たちを緊張感が襲う。
引っ張ってくれていた3年生はもうここにはいない。
「いつも通り、やろう」
山口の肩をバシッと叩いて声を掛けた。
大地さんならもっと違う言い方をしてたかもしれない。
きっと、ドンと構えて周りが安心してプレー出来るようにするんだろうな。
でも、これが俺らしいやり方なんだと思う。
「谷地さん、アップのあとのドリンクの準備大変だった声掛けて手伝うから」
「は、はい…!すみません…!」
「マネージャーも一人っきりは初めてだから不安でしょ、みんなを頼っていいよ」
「…!あ、ありがとうございます…!」
「え、縁下くん…!」
「…!」
「試合前に、会えて良かった…!お、遅くなってごめん…!」
息を切らしながら現れたについ笑みが溢れる。
先に行ったみんなの背中を見送ってから口を開く。
「スーパープレーとはいかないかも知れないけど…しっかりやってくる、だから見てて」
「………うん、私も、しっかり見る…っ」
周りの人の目もあるから抱き締めるのは我慢。
それなのに、が俺の手をぎゅっと握るから。
「が、頑張って……!…ひゃ……っ!?」
「行ってきます」
時間にして3秒、あるかないか。
一瞬抱き締めてそう囁いた後、みんなの後を追い掛ける。
きっと顔を真っ赤にしてるのかな、なんてちょっと想像して顔が緩む。
「…よし、行こう!」
ユニフォームに袖を通してコートへと向かう。
相手のサーブから始まる。
「さっこォォーいッ!!!」
腕を構えてサーブに備える。
、俺の背中を押してくれてありがとう。
俺は俺でいいって言ってくれたから、もう何も怖くない。
スタートラインに立つ俺を、その目で見てて。
HAPPY END.