第43章 僕たちのポートレート。【菅原END】
の言葉を聞いてフリーズする事、数秒。
菅原はその意味を理解して急に慌て出す。
「今………、なんて、」
都合の良い空耳だったらどうしよう。
聞き返して、そんな事言ってないってわかったらそれはそれでショックかもしれない。
「好き、です………このタイミングで言うべき事なのかはちょっとアレなのですが…どうしても、その伝えたくて…」
「……………」
告白のベストなタイミングなんて自分だってわからないけど、今のは完全に油断していた。
まさか今、言われるなんて。
「……まだ先輩が、私の事を…その、いいと思ってくれてるなら…」
「思ってるよ、ずっとずっと思ってる」
ハッキリとした口調で菅原はそう答えた。
「……、俺もが大好きだよ」
「………っ、わ、私も、です…」
ここが、駅のホームで。
乗る予定だった新幹線もとっくにここを出発してしまっていて。
でも。
そんな事どうでも良くなるくらいに、二人は抱き締め合っていた。
宿へと戻る管原の隣には少し申し訳なさそうな顔をしたの姿があった。
「私…一度断ったのに、良いのでしょうか……」
「当たり前だべ!」
は結局、みんなのいる宿に戻る事に決めた。
一度断った手前戻りにくい気持ちもあったが、管原の側にまだいたい気持ちも強くあった。
菅原はそっとの手を握り、そのまま引いて歩く。
「それに、追い掛けるからには連れ戻してこいって大地や清水に言われてるしな!」
その言葉にの胸は熱くなる。
こんな私を、みんなは待っていてくれているんだ。
自分より大きな管原の手は、温かくてとても安心出来た。
「……先輩のこと、好きになってよかった…」
「ん?」
「いえ!…何でもありません」
繋がれた手とは反対の手で肩に掛かったジャージをキュッと握り締める。
陽だまりのような先輩の笑顔をこの先も、一番近くで見られますように。
そう願いながらは菅原の手を握り直した。
END.