第43章 僕たちのポートレート。【菅原END】
「……、えっ…!泣いてる?!ごめん…!俺のせい…!?」
「ちが…っ!違います………!」
慌てて目元を擦り涙を誤魔化す。
今日はみんながいる宿で、清水や谷地と一緒に泊まる事を勧められていた。
でもそれを断ったのは、自分は相応しくないと思ったから。
コートで戦ったわけでもない、
練習の苦楽を共にしてきたわけでもない。
そんな自分が一緒に今日と言う日を過ごして何の役に立つだろう。
はきゅっと唇を噛み締めて俯いた。
パサ、
「…………?」
「これ、にあげる……っつーよりも、貰って欲しい」
「菅原…先輩、これ……」
俯いた頭にそっと掛けられたのは真っ黒なジャージ。
慌てて手に取ると『烏野高校排球部』と書かれた白い文字が目に入る。
「……こ、こんな大切な物…っ!貰えません……!」
「大丈夫、それ1枚きりじゃないしさ」
「でも………!」
ポンっとの頭の上に管原の優しい手が乗せられる。
「さ、まだ自分は部外者だなんて思ってんのか?」
「………っ、」
そんな事ない、とは言い切れなかった。
『仲間』と呼んでくれても、自分にバレーはできない。
球拾いもできないし、スコアもつけられない。
「私には…写真を撮る事しか、出来ません…」
引っ込めたはずの涙がまた滲みそうになる。
「その写真のおかげで、俺たち頑張れたよ」
管原の言葉にの目からは大粒の涙が溢れ落ちた。
そんなの手からジャージを取ると菅原はもう一度彼女の肩にそれを掛けた。
「………抱き締めてもいい?」
「………っ、」
言葉の代わりに、は小さく頷いた。
それを合図に管原の腕の中にはすっぽりと収まった。
背中には管原のジャージ、正面には本人。
全身を包み込まれている様でドキドキしてしまうけれど、それと同時にひどく安心もした。
「あの…菅原先輩」
「ん?」
モゾモゾと顔を上げたはほんのりと頬を染めて菅原を見上げ口を開いた。
「……私、先輩の事、す…き、です」
「………………」
「……?えっと…あの、私、」
「ちょ…!ま、待った……!え?え?!今、…!?」
今、とんでもないこと言わなかったか……!?