第42章 僕たちのポートレート。⑦
見上げると呆れた顔をした澤村がを見つめていた。
「そうじゃないだろ」
「………?」
「が目を覚まして良かった、だ」
「………!」
ゆっくりと周りを見渡せば安心した表情の部員たち。
これが『仲間』なんだ、と感じずにはいられなかった。
「でも一応保健室には行きましょう、月島くんが付き添ってくれるそうですから」
「…?」
武田の言葉を聞いては驚きの視線を月島に送る。
月島以外の部員たちはそれぞれの練習へと戻って行った。
「…何、その顔」
「いや……その、意外で……」
なぜ月島が付き添ってくれるのだろう。
そう答えながらも月島の手を取り立ち上がる。
「行くよ」
「あ、うん……!」
体育館を後にする二人に向けられた二つの視線。
「また、先越されたなぁ…」
「また、ですか?」
「月島の前はお前だぞ、縁下」
「え、」
二人が体育館を出たところで始まった管原と縁下の会話。
嫉妬心もあったが、あそこで割り込めるほど自分は空気を読めない人間じゃない。
「前にが体育館を飛び出してった時、フォロー入れたの縁下じゃん」
「あぁ…ありましたね、そんな事」
「しれっとしてんなぁ(笑)」
「菅原さん、に」
「え?」
告白したんですか、そう縁下が言葉を続けようとした時澤村の集合がかかり会話が終わる。
「………」
聞かなくて良かったのかもしれない、と縁下は小さく溜め息をついた。
「武田先生、何持ってるんだろ?」
「写真、集………?」
武田を中心に円になった部員たちはその手に持っている物に注目する。
「……これは、さんから皆さんにです」
一人ひとりに手渡された一冊の本。
その表紙には『飛べ!』と大きく書かれた横断幕があった。
「すげぇ……!」
「めちゃくちゃカッケェ…!!」
中にはがこの短期間で撮り溜めたたくさんの写真が納められていた。
一人ひとりにスポットを当てたページもあれば、試合中を切り取った写真もある。
そのどれも表情は真剣でバレーへの限り無い『熱』を感じさせた。