第38章 僕たちのポートレート。③
「、です……よろしくお願いします…」
勉強会から翌々日、合宿で不在だった一年トリオとは顔合わせとなった。
目付きの悪い影山、冷めた視線で上から見下ろす月島、その間で顔を真っ赤にして挨拶を噛む日向にの緊張もピークだった。
「と、言うわけだ。困ってたら助けてやってくれな」
澤村の説明を聞いてその場は解散となる。
はペコリと頭を下げてコートの隅へと戻って行った。
サーブ練習を終えた後、暫しの休憩に入る。
月島はカメラのチェックをしているに視線を向けた。
(さっきとは別人……)
紹介された時はあんなにおどおどしていたのに、今はどうだ。
カメラに向ける視線はとても真っ直ぐで真剣だ。
「……笑っ、た?」
思わず月島の口から漏れた言葉。
「なになに?どうしたのツッキー」
「……別に、なんでもない」
確認作業中の彼女が今確かに小さな笑みを見せた。
「前髪切ったのな!うん、いいじゃん!」
「あ、ありがとうございます…田中くんのお姉さんがやってくれて…」
山口をサラッ誤魔化した後、もう一度視線を向けるがは菅原と話をしているようだった。
「…………」
撮った写真を菅原に見せているせいか、二人の距離は肩が触れ合いそうなほどに近い。
それが、月島には無性に面白くなかった。
(こないだは縁下さんといたのに…菅原さんとも仲良いとか…)
文化祭で目についた写真を撮った主が、自分のいない間にバレー部に関わって、他の人と仲良くなっている。
それが目の前にある情報の全て。
(…ただ、それだけだろ)
月島の中に起こった、ほんの少しの変化。
その気持ちはまだ名前をつけられるほどハッキリはしていなくて。
ただぼんやりとこそに浮かんでいるような、それでいて目を離したくなくなるような、そんなモノだった。
月島がこの事を無理矢理に頭の片隅に追いやった直後、
「あ、あの……」
管原と話を終えたが小さな声で月島に話し掛けた。