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High Q!!!(ハイキュー短編小説)

第29章 ガトーショコラで治らない彼の機嫌を治すには。(月島蛍)



月島side


そもそも気に入らないんだ。

山口が僕より先にの存在に気付いていた事も、影山と知り合いだって事も。
あの土曜日のゲームもの前で負けたって言う事実が気に入らなかった。


「ツッキー珍しいね、誰かに貰ったお菓子食べるの」


「……今日は食べたかったから」

「そうなんだ」


朝、の姿を公園で見つけた時は驚いた。
ガトーショコラを何故僕に渡すのか、理由を探す彼女に一つだけ聞いた事。

他のヤツにも作ったのかって言う事。

答えはNOだった。


つまりこれを貰うのは僕だけ。


そう考えただけで胸に溜まっていた色々な鬱憤が晴れていく気がした。
自然と口元も緩んでしまう。

くれた理由は何となくわかるし。



「ご機嫌取りで毎回食べられるならずっとイライラしてようかな」

「ツッキーそれ何の話?」

「別に」


最後の一口を口に放り込み、親指についた欠片も舐め取る。
ふと視線を感じて目を向けるとと目が合った。

真っ赤な顔しちゃってさ。


(ごちそうさま)


口パクでそう伝えると、赤い顔は更に赤くなった。
どうせ友達に僕の事聞いたんだろうけど、そんな事はどうでもいい。


そうやってもっと僕を意識すればいいよ。



がいなかった一年間、どんな思いで僕がいたか。
何をしてたっての顔が浮かんでた。
学校の中にも外にもと過ごした場所が多過ぎる。

なのに自分は影山と仲良くしてました、なんてそんなの絶対許してやんない。




口に広がったチョコレートの味は僕のモヤモヤを引き連れてゆっくりと消えていった。








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