第27章 可愛い君の成長過程に大いに期待する!(影山飛雄)
「…先輩は、なんで俺に構うんすか…」
「え?」
「可愛いって何ですか?」
「ちょ…飛雄?」
「俺、男ですけど可愛く見えますか!?それって全然男として見られてねーって事ですか!!?」
「と、飛雄!待って待って…!」
一度吐き出してしまえば、もう止まらない。
視線はそのままに影山の声はどんどん大きくなっていく。
は影山を落ち着かせたくてその手を握る。
まだ、さほど大きさの変わらない影山の手は少しだけ震えていた。
「…飛雄、私……飛雄の事男の子だってちゃんとわかってるよ?」
「………っ」
「今は目線のおんなじ、こんなに可愛い飛雄が…いつか私の背なんてあっという間に追い越してすごーくカッコ良くなっちゃったり…なんて考えたらさ」
は握る手にぎゅっと力を込めて影山を見つめる。
「…ドキドキしちゃって、死んじゃうよ」
「…、せんぱっ…!」
「だからね」
は影山の首に腕を回して抱き締めた。
まだ、成長途中の体はでも簡単に包み込めてしまう。
「今は可愛い飛雄を堪能させて?」
「………………ウス//////」
そんな日から3年。
淡い淡い月日はあっという間に過ぎ去っていった。
は青葉城西の3年生、影山は烏野高校の1年生へとなりそれぞれに制服を変えた。
「ねぇー、ちゃーん…もういい加減及川さんのモノになっちゃいなよー」
「ウルサイ及川、岩泉黙らせて」
「だとよ、及川」
「ゴメン、岩ちゃん拳回しながらこっち来ないで」
中学から既に6年の付き合いになる、の及川の扱い方も慣れたものだ。
「…ちゃん、朝から機嫌良いのが俺は気に食わないのー」
「あ?そうなのか?」
「どーせ飛雄が来るからでしょー、あーヤダヤダ!飛雄ばっかりズルい!」
「ちょっ…!重い!!はーなーれーろー!」
拗ねたような顔で及川はに抱き付く。
はジタバタと暴れるものの体格差があり過ぎて及川はビクともしない。
今日は烏野高校との練習試合がある日。
がそれを前々から楽しみにしていた事は嘘ではない。