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High Q!!!(ハイキュー短編小説)

第27章 可愛い君の成長過程に大いに期待する!(影山飛雄)



(可愛いってのはアンタの事だろ…)

大きな瞳、動く度にフワリと揺れる髪。
笑うと出来る笑窪に華奢な腕。
それに何とも言いようのない甘い香りもする。

「じゃあ私着替えて来るね!」

「…ウス」




可愛いじゃなくて、もっと欲しい言葉がある。





ここ最近、影山の中に芽生えた欲だった。









「お疲れっしたー!」

「お疲れー!!」

いつもと変わらない部活終わり。
体育館に残ったのは及川と岩泉と影山、そして。

及川と岩泉がセットアップをしている隣のコートで影山は一人黙々とサーブを打ち込む。
はそんな影山の様子をじっと見つめていた。


「…ねぇねぇ岩ちゃんどう思う?!」

「あぁ?」

「アレだよ!アレ!ちゃん!飛雄ばっかり見ちゃってさー!!ここにイケメン及川さんがいるのに!」

「うるせェ!集中出来ねェならさっさと声でも掛けりゃいいだろ!!」

及川が練習に集中していない事がわかった岩泉は及川の背中を思い切り蹴り飛ばす。

「いったー!!岩ちゃんヒドイ!」

「真面目にやんねェからだろ!」

「…うー……大体ちゃん、飛雄の事可愛い可愛いって言ってサ…男として見てないんじゃないのかなぁ?」




その及川の一言は影山の元にも届いていた。




バスッ…!

何本目かのサーブは今日初めてネットに掛かって落ちた。


「飛雄…?」

その珍しい光景には思わず影山の名を呼んだ。


「俺、今日はもう…帰ります」

影山はその場から逃げ出す様にボールを籠に押し込んで体育館を飛び出した。

「え…っ!?ちょ…待って!飛雄っ!!」

その後を追っても体育館を後にする。



「飛雄っ!待ってってば…!ねぇっ」



振り返りもせず大股で歩く影山の腕をが漸く掴めたのは学校を出てから少ししてからの事。

「やぁっと…はぁ、追い付い、た…!」

「………」

「飛雄…?どうしたの?」


眉間に皺を寄せて口をへの字に結んだまま、影山は視線をアスファルトへ落とす。
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