第27章 可愛い君の成長過程に大いに期待する!(影山飛雄)
「と・び・おっ♪」
「先輩」
放課後、体育館に向かう大好きな後ろ姿を見つけては堪らず飛び付いた。
2つ年下の後輩、影山飛雄。
過剰とも思われるスキンシップをほぼ毎日繰り返す内に影山もすっかり慣れた様子だ。
「今日も一緒に帰ろ?あ、自主練も付き合うから」
「はい…でもいいんすか?」
「なんで?」
「いやだって及川さんが…」
「……飛雄、その名前出さない、わかった?」
「う、あ…!ウス…」
『及川』その名前を出しただけでの声色がドスのきいたモノに変わる。
それを察した影山も素直にに従った。
「あー!!ちゃん!また、飛雄構ってる!!」
「げ…」
「及川、さん」
「抱き付くなら俺にっていつも言ってるのに!なんで飛雄なの?!」
と影山の背後から現れた及川にはサッと影山の背に隠れた。
「うっさい!及川!私は飛雄がいーの!!」
「そんな目つき悪いヤツの何処がいいの!!イケメン及川さんの方がいいでしょ!」
「こっっっんな可愛い飛雄を悪く言わないで!」
及川の悪口にはすかさず反論し、影山の頬を両手で包みウットリと見つめる。
「………先ぱ…!近…!///」
「照れたトコも可愛い!!飛雄っ!」
は影山の腕にしがみついて顔を擦り寄せる。
「………っ」
先輩であり、マネージャーであるは影山にとっても憧れの存在である。
こうして自分を特別視してくれている、それは嬉しい。
でも影山には腑に落ちない事が一つある。
「私は及川より可愛い可愛い飛雄が良いんです!!行こ、飛雄」
ベーッと舌を出して及川に背を向けて歩き出す。
に引っ張られる形で影山も足を動かす。
チラリと振り返れば追い掛けようとした及川が岩泉に捕まり逆方向へと引き摺られていた。
(可愛い…?可愛い…って、俺が?それって…)
影山が腑に落ちない事、それはがあまりに自分に向けて可愛いと連発する事だった。
それじゃまるで男として見られていないじゃないか。
「飛雄?」
「…あ!ハイ」
どうしたの?と首を傾げて顔を覗き込むを見て影山は思う。