第26章 こんな愛し方しか出来ない僕を許して。(月島蛍)
次の日の夜、親は職場の飲み会で家には兄ちゃんと僕らの三人だけ。
見計らったかの様に兄ちゃんは僕らを呼び出して座らせた。
その顔はとても難しい顔をしている。
「お兄ちゃん?なぁに?」
「………」
何となく察しのついている僕は視線を反らして何もないテーブルの角をずっと見つめていた。
「うん、あのな…前から薄々感じてたんだけど…お前等まだ一緒に寝てるのか?」
ほら、やっぱり。
思った通りの事を言われた。
隣のを見ればすごく焦った顔をして、唇を噛み締めている。
何も言えなくなってしまったの代わりに僕が口を開く。
「寝てるけど」
「…蛍っ」
「はぁ……やっぱりな」
あっさりと白状した僕を心配そうには見つめる。
すごく不安そう。
その不安を取り除きたくて、テーブルの下でそっとの手を握った。
「蛍、…お前達はもう高校生なんだぞ?いつまでもそうやって…」
「僕たちはずっと一緒だよ」
兄ちゃんの言葉をピシャリと遮る。
テーブルの下で震えていたの手が僕の手を強く握った。
「僕はと離れる気はないし、も僕がいないと眠れないんだ」
「蛍…」
「だからはこの先もずっと僕の側にいるんだよ」
そこまで言い切ると兄ちゃんは頭を抱えて大きく息を吐いた。
「も…」
「え?」
「も蛍と同じ気持ちなのか?」
しばらくの沈黙の後、は僕の顔をチラリと見てから兄ちゃんに向き直ってコクリと頷いた。
あぁ、それだけでこんなにも僕の心は満たされる。
繋がり合った手は体温よりも高くて温かい。
「はぁ~…お前等は全く…」
呆れた様に兄ちゃんは項垂れて頬杖を付きながら僕たちに向かって言った。
「父さん達にはバレるなよ」
それを聞いての顔はぱあっと明るくなる。
「そんなに嬉しいのか?、たまには兄ちゃんとも寝るか?笑」
「お兄ちゃんと…?」
「ダメに決まってるデショ、行こ」
「あ、蛍!おやすみなさい、お兄ちゃんっ…」
繋いでいた手を引っ張る形でリビングを後にする。