第26章 こんな愛し方しか出来ない僕を許して。(月島蛍)
『けい、いっしょにねよう?』
『うん』
同じ日に生を受けた僕たちは当たり前の様に一緒に居たし、離れ離れになる事なんてこれっぽっちも望んでいない。
小さい頃はお互いにぎゅうぎゅう抱き着いて眠った。
今も、その事実は変わらないけれど決定的に違うのはこの体格差と僕の気持ち。
「蛍…入っていい?」
「…いいよ」
真夜中にコッソリと僕の部屋を訪れる。
「兄ちゃんには見つかってないよね?」
「うん…大丈夫だと思う、いびき廊下にも響いてたから」
「おいで」
「うん」
ベッドの掛布団を片手で捲って、ぽつんと立っているを呼べばたちまちに笑顔を見せる。
高校生になった今も昔と同じ。
少し冷えてしまったの体をぎゅっとベッドの中で抱き締める。
「私、きっとこれから先も蛍と一緒じゃないと眠れない…」
「これからだって一緒に寝ればいいデショ」
「でもお兄ちゃんはもうダメって…」
兄ちゃんは僕らが中学生になった頃から一緒に寝る事をやめた方がいいって言うようになった。
だからこうして夜な夜な目を盗んでは互いの部屋へ行き寄り添い合う。
でも、兄ちゃんに何て言われたって僕はを離さない。
誰にも、兄ちゃんにも渡さない。
産まれた時から特別な僕だけの女の子なんだ。
「は、僕の事好き?」
「うん、好き…」
顔が隠れるくらい布団を被って囁いた。
好きかと聞けば好きだと答える。
ずっと変わらない、やり取り。
ねぇ、。
その「好き」は、僕と同じ「好き」?
そう聞こうとしたのに、腕の中では小さな寝息を立てていた。
小さく溜め息をついて柔らかな髪を指でとく。
「おやすみ…」
そうしてゆっくりと僕も目を閉じた。