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High Q!!!(ハイキュー短編小説)

第23章 一足遅れの春がとても暖かい事を僕は知っていた。(松川一静)


花巻と加奈子の姿はもうない、既に階段を降りたんだろう。
松川とが遅れて降りると、遅いと花巻に呆れられた。

資料を取りに行くと言う加奈子とトイレによると言う花巻と分かれて松川とは教室へと戻る。

「ねぇ、はさ…」

「何?」

「……いや、やっぱりいいや」




『花巻が好きなの?』そう聞こうとして松川はやめた。
それを聞いてしまったら何かが壊れそうな気がした。


「何だよそれ、気になるだろ」

「唐揚げ、毎日弁当に入ってるから好きなのかなって」

「はぁ?だってうまいじゃん、唐揚げ…」

当たり前の事を聞くなと言わんばかりには答えた後、そうだねと松川は笑った。


(…が隠そうとしているならそれでいいか、きっと俺にとってもその方がいい)


「進路?」

「そう、もう決まってる?」


放課後、帰り支度をしていたの席にが来て進路の話になった。
三年生の自分達にとって三年ぶりの人生の岐路である。

「うーん、実家から通える所で絞ってるよ」

「そっか」

「親が一人暮らし許してくんなくてさ、夢の上京も夢に終わっちった」

「、東京行きたかったの?!」

「いや、どうしてもってワケじゃないんだけど…なんつーか憧れ的な?」

そんな理由で上京なんて許されるはずがない。
は笑いながら言った。

「まぁ…あたしは東京出ても結局は地元が良いってなりそうだしな、はは」

「ふふ、らしいかも」

「花と松は部活行った?」

「うん、たまには体動かすって」

花巻と松川は部活を引退した今もこうして時々顔を出す。
見に行くだけの時もあれば見ているだけに我慢できなくなって体を動かす時もある。


「そういえば加奈子は?進路決まってんの?」

「あ…うん、決めたよ……」

か聞いた瞬間には顔を強張らせる。

「もう絞ったのかー!でもそうだよな、あたしももう決めなきゃ」

「あのねっ!…!私、東京に行くの…」

「……え?」


の口から聞かされた進路は全く予想していなかった。
春になれば加奈子は東京に行ってしまう。






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