第3章 -完-『口移しのチョコレート』by藤ヶ谷先生、大好きですよ?
「どうせ北山先生にもチョコあげる予定だったんで
今から行きますよ。その後、藤ヶ谷先生の所に行きます。」
「でも悪いよ......。」
「全然いいんですよ!そこまで遠くないし、大丈夫です!」
「......じゃあ、悪いけど...お願いできる?」
「はい!じゃあ今から大学の方に行きますね!」
「オッケー!」
百合は電話を切り、早歩きで柴鶴大学に向かった。
それから15分くらい歩き大学の正門が見えてきた。
「おーい百合ちゃん!こっちこっち!」
「北山先生!」
どうやら北山先生は正門前で待っていたらしい。
百合はさらに足を速めた。
「わざわざありがとね。はい、藤ヶ谷先生の携帯!」
「ありがとうございます、北山先生!
はい、義理チョコです(笑)」
百合は携帯を受け取ると鞄からチョコを
包んだ小箱を出し、北山先生に渡す。
「ありがとう!やっぱり義理だよね~(笑)」
「そりゃあ本命以外の対象ですから(笑)」
「(笑笑)じゃあ、携帯よろしくね?」
「はい!じゃあまた、さようなら!」
「うん、さようなら!」
百合は挨拶をすると、また早歩きで
近くにあるバス停に向かった。
「丁度来るころだね!」
百合がバス停に着くのと同時に、
十番通り行きのバスが見えてきた。
「あ、きたきた!」
百合はSuicaをタッチをし、空いている席に座った。
「よいしょっと!」
(バスなんて久々に乗るなぁ......。)
そしてバスは発車した。しばらく乗っていると......。
「ヒソヒソヒソ...」
「ヒソヒソヒソ...」
後ろのほうからヒソヒソ話が聞こえてきた。
「......?」
百合は気になって後ろを向く。
ヒソッ
「ほら、やっぱり玉森百合ちゃんじゃない!?」
ヒソッ
「そっくりさんじゃなくて?いくら何でも
変装しなさ過ぎだよ。」
どうやら私が玉森百合ということが
ばれかけているところだった。
「......(汗)」
百合はそっくりさんを装う事にした。