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日常から非日常へ 【薄桜鬼】

第15章 鬼、再び


将軍上洛の話を、総司くんから聞いた日の夕方、近藤さんから隊士は広間に集まるようにと言われた。

「みんなも、十四代将軍・徳川家茂公が上洛されるという話は聞き及んでいると思う。」

隊士達が頷くのを見渡し、近藤さんは力強く続けた。

「その上洛に伴い、家茂公が二条城に入られるまで、新選組総力をもって警護の任に当たるべし、との要請を受けた!」





二条城はその名の通り二条の堀川通に面した荘厳な城。俺は思わず

「でっけぇなぁ…。」

なんて声を洩らす。
本当なら、ここで総司くんから一言二言来る筈なのに、ここにはいない。
広間に集まった時に、土方さんから任から外された。
原因は風邪気味だから。まぁ、昼間も咳き込んでたからな…。
そして、平助…。
平助は、自分から外してくれと頼んだ。

「いつもなら、真っ先に飛び出していくのに…なんてったって…!…あれ、何だっけ…?」

最近、現代にいた頃に培って来たはずの薄桜鬼の知識が抜け落ちてきている…気がする。
一体どうしちまったんだろうか…。

「…!なんだ…この、妙な気配は…。悪い、みんな俺あっち見てくるからここは頼んだ!」

「山中副組長!?」

そう、他の隊士に言い残し妙な気配のするほうへ走っていく。
たどり着いた先にいたのは…。

「…言っておくが、お前を連れていくのに、同意など必要としていない。女鬼は貴重だ。共にこい。」

千鶴ちゃんに向かって手を差し伸べている、自らを鬼と名乗る…風間千景だった。
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