• テキストサイズ

日常から非日常へ 【薄桜鬼】

第11章 分散行動


長い髪を高い位置で縛り、肩がむき出しの他の長州兵とはあまりにもかけ離れた姿。
そして、男の手に握られた最新式の短銃。

「ヘイ、雑魚ども!光栄に思うんだな。てめぇらとはこのオレ様が遊んでやるぜ!」

ドォン!

言い終わらないうちに、あたりに銃声が響き渡る。

そうだ、こいつは、風間さんの仲間の…。

「なんだァ?銃声一発で腰が抜けたか。」

すると、左之さんが俺達を庇うようにして立つ。

「遊んでくれるのは結構だが…、お前だけ飛び道具使うのは卑怯だな。」

「ハッ。長物なんて振り回して、古いんだよ。」

と、突然左之さんが槍をふるう。
びっくりして声あげそうになったぞ。

「…フン。てめぇは少し骨がありそうだな。にしても正面から来るか、普通?」

「小手先で誤魔化すなんざ、戦士としても男としても二流だろ?」

すると、男がひゅう〜っと、口笛を吹き、

「…オレは不知火匡だ。お前の名乗り、聞いてやるよ。」

「新選組十番組組長、原田左之助。」

左之さんの名乗りを聞いた途端、不知火は何故か俺を見てふっと鼻で笑い、

「…お前がそうか…なるほどなァ。」

「…?」

…なんなんだよ、一体…。

「…命拾いしたな、てめぇら。今日のところはここまでにしてやる。新選組の原田左之助。次は殺す。オレ様の顔をしっかりと覚えておくんだな!」

そう言い、不知火は身を翻して消えた。

「忘れるかよ。不知火匡…。俺の槍を避けられた奴は、お前が初めてだぜ。」




その日の夕方、京の町は炎に包まれた。
長州の奴らが火を放ったのだ。


これが世に言う、禁門の変…。
/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp