第9章 帰る場所
池田屋事件から半月が過ぎ、沖田さんと平助の怪我も順調に治ってきている。
すごく嬉しいことなのに、俺は心が晴れないままだった。
誰かに相談出来るわけもない。自分が鬼かもしれないこと。
異世界からやってきた俺が…みんなに迷惑かけられない。
「…出ていくしか…無いよな。」
風間さん、今度会ったら連れ去る。だなんて言ってたもんな。
「いやな…風間さん好きなんだけど…こんな強引だったか?」
はぁ、とため息をつく。
とりあえず、今日は非番。土方さんに言って来よう。
何て言って外出しよ…非番なんで、京を観光?
「ダメだ、許可できねぇ。」
「何でですか!」
「お前のことだ、一人で外に出ると迷子になんだろうが!」
「あ、あれは!たまたま知らない所だったからであって!!今日は大丈夫ですよ!!!」
「お前の大丈夫は信用ならねぇ!いいから大人しく屯所にいやがれ!」
ちぇ、土方さんのイジワル。
…夜まで待つか…。
その日の夜、俺は屯所を抜け出した。
見つかったら切腹だな…。