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【トリップしたけど…】テニスの王子様【どうするの?】

第28章 病院にて。





ベッドに近付くと、そこには見慣れない姿のルカちゃんがいた。


髪を乱し、息を荒くし、その目は涙で濡れ赤くなっている。
さっきまでのルカちゃんとまるで違う。
感情がむき出しになっているみたい…。



「来ないで!!来ないでよ!!
あんた誰よ!?
あたしが何したっていうの!?」



誰もいないはずの白い壁に向かって叫ぶルカちゃん。
やっぱり幽霊…?
なわけ、無いよね?


私がいる事に気付いていないのか、こちらを見向きもをしない。
これじゃ拉致があかない……。


私は意を決し。



『ルカちゃん…!』


「っ!あんた!
生きてたの!?何でよ!?
ホントしつこい!
ゴキブリみたい!!
近寄らないでよ気持ち悪い!」



う……。
何もそこまで言わなくても。
せっかく来たのに罵られるって……。


しかも私の大嫌いなゴキブリに例えられた。
何でなんだ…。



「てかあんたの仕業!?
さっきからこいつしつこいの!!
追い出してよ!」



こいつ?
壁を指さしそう言うルカちゃん。
でもそこには当たり前だけど誰もいない。



『ルカちゃん…。
さっきから誰に言ってるの?
そこには誰もいないよ?
ただの壁だよ』



ルカちゃんは私の言葉には?と答えた。
唖然とし、目を見開き口を開けている。



「みえ……ないの?
そこに居るじゃない!!
髪が白くて目が赤いのが!!
冗談いわないでよ!」


『髪が白くて……目が赤い……?』


「そうよ!!」



ルカちゃんの言うそれは、まさかさっきの?
でも、それならどうして私にも見えない?
目を凝らしても決して見えない。


それはルカちゃんの幻覚なのか、それともあのときいた彼がルカちゃんの前に現れているのか。



「……あ、分かった。
あんたがいるから……生きてるからこいつもここにいるんだ。
やっぱさ、お前が死ねば全て丸く収まるんだよ……。
あはっ!」









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