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( utpr*短編 ) キスの仕方を教えてよ ( 美風藍 )

第1章 本編


「…へ」

藍の提案に、思わず間抜けた声が出る。藍は笑ってる。でも、なんか、目が笑ってない。
わたしにプレッシャーを与えるような、期待が混ざった意地悪な目。好きだけど、ずるい。

「いいよね」

ぐいっと再び引き寄せられ、わたしが藍に覆い被さるような形になってしまう。こんな引っ張られては、逃げ出せる訳が無い。それを知っててやってるのだから、藍は本当に意地悪だ。
好きだからこそ、ずるい。

「…やり方、わかんない」
「普通にやればいいんだよ」

藍の唇を見詰める。女の子みたいな、薄い唇。多分、わたしの唇よりずっと柔らかくて綺麗。
ここに、今からわたしがキスをする。考えるだけで、顔から火が出そうになる。

「…何赤くなってるの、キスは何回もしたことあるよね?」

それはそうだけど。
わたしからするのとそうでないのでは、大分違う。なんか無駄に緊張するし、恥ずかしい。

「…い、いくよ」
「ん」

ごくりと唾を飲み込んで、藍の唇へと向かう。目を閉じた藍の顔は綺麗で、格好良くて。
一気にいっちゃえ、と思って小さく触れる。柔らかい。温かい。
すぐに唇を離す。所謂、フレンチキス、というやつ。わたしが羞恥心に悶えていると、藍は不服そうな顔でわたしを見てきた。

「…終わり?」
「う、うん」
「だーめ、ちゃんとやって」
「ちゃんと!?」

その言葉の意味がよく分からない。藍は焦れたように溜め息を吐くと、ぐっと顔を近づけて言った。

「もっと深くていやらしいのして、って言ってるの」
「…っ!?」

藍の口から、変な言葉が飛び出る。これは、藍のスイッチが入っている証拠だ。黒い笑みを貼り付けながら、藍がわたしの頬を撫ぜる。

「してくれるまで、離さないよ」
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