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( utpr*短編 ) キスの仕方を教えてよ ( 美風藍 )

第1章 本編


そんなこと言われても。まず第一に、やり方が本当に分からないし。今まではそういうキスも、藍が先導してくれてたし。わたしはされるがままだったし。…気持ちよかったのは覚えてる、けど。

「…下手だよ?」
「いいよ」

琉陽がしてくれるなら、下手とか関係ない。
藍がまたわたしを熱くさせる。こういうの、よくない。藍ばっかり上にいて、ずるい。体勢はわたしの方が上なのに。
でもいつまでもこのままでも仕方ない。わたしは今まで藍にして貰ったことの全てを引き出して、藍に再び口付けた。
最初は軽く啄むように。ちゅっと軽いリップ音が響いて妙に恥ずかしいけど、とりあえず続ける。上唇を軽く吸い上げながら、唇を覆うようにキスをする。すかさず藍の舌が侵入してきて、わたしの舌と絡めあわされる。
くちゅ、とか、ぴちゃ、とか。耳の中まで侵されそうになるくらいの水音に身体を震わせながら、必死に藍の舌を絡めとる。

「ふっ…ん、ぅ…」

わたしの方が体勢が上にあるから、唾液が藍の方に自動的に送られていくわけで。藍の喉がこくっと鳴る度に恥ずかしくて目をぎゅっと閉じてしまう。
呼吸が乱れ始めた頃、藍はいとおしむ様に唇の端をぺろりと舐めて口を離した。
身体に酸素を取り込みながら唇を拭う。いつの間にか零れていた唾液が唇を濡らしていた。

「…上手いじゃない」

藍がふっと口角を上げて舌なめずりした。その姿がすごく余裕があって。わたしはむっとする。

「…ずるい」

今日何度目だろう、この言葉。口に出したのは初めてか。わたしの言葉を聞いて、藍はぐいっとわたしを組み敷くと、結っていた髪を解いた。

「…じゃあ、次はボクからのご褒美だよ」

…ああ、本当に。
藍には、敵わない。
今度はもっと、いいキスをしなきゃ。



fin.
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