第5章 好き。だからこそ(黒尾 鉄朗)
「....ん」
重たい体を起こすと横に鉄朗がいた。
揺らして「起きて。」と言っても起きないので、
先に起きてコンビニに行った。
適当に弁当、紅茶、そしてデザート(鉄朗の分はない)
を買って、またラブホに戻った。
カードキーでドアを開けると鉄朗が抱きついてきた。
「きゃっ!?....どしたの」
多少驚いた声を出したけど冷たい声でまた接する
「.,.はは、かわいい。」
にっこりと微笑んで普通の女子なら黄色い声をあげる台詞を言われた。
もちろん。私は普通じゃないから出さないけど
「...弁当と紅茶買ってきた。食べよ?」
袋を見せると猫のように奪い去っていった。
テレビのある部屋に行って弁当をあける。
テレビを点けて、ニュース番組を淡々と無言で見ていた。
「.,.ここらで火事があったんだってよ」
「ふーん。そう」
これで会話が終わり。
つまんない会話。そして私はデザートのロールケーキを食べ始めると鉄朗はそれに食いつく。
「...俺のは?」
「ない」
ズバッと言い捨てる。
そうしたら私のロールケーキが乗ったスプーンを手首ごと掴んで食べた。
「うん、んまい」
これって、間接キスってやつ..?
やだよ。.,.まるでこんなの
恋人みたいじゃないか