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【合同企画】相合い傘

第1章 ノクターン


「久しぶりだな。」
「お疲れさま。」
「珍しいな。見学か?」
「違うよ。」

カバン中も見てみたけど見つからなくて、センパイと誰かの声を聞きながら
保健室に薬を貰いに行こうと振り返った時だった。

「彼に傘を貸したから。」

センパイと会話をする誰かはっちだった。

「あ…え?」
「傘、取りに来たんだけど。」

センパイへ向ける表情は穏やかなのにオレに向ける表情は怪訝そう。

ズキン…

「そうだった…スね。」

頭が疼く。

「あ…、頭痛薬持ってねぇか?」
「持ってるけど?」
「黄瀬が薬忘れたらしくてよ。」

「薬の名前は?」なんて聞く表情は臨戦態勢の猫の様で、思わず笑ってしまいそうっス。
薬の名前に答えると偶然同じ薬だったらしくて分けてくれた。
その薬を持参していたミネラルウォーターで流し込むと「ふぅ〜。」と息を吐いた。

「ありがとう。コレで助けられたの2回目っスね。」

っちに微笑みかけると、不機嫌な顔をする。

「そんな作り物の笑顔なんて要らない。」
「え?」

オレが呆気にとられていると、笠松センパイが声を堪える様にして笑った。

「オマエ、レッスンは?」
「今日は休みなんだ。」
「じゃあ、久しぶりに見てくか?」

笠松センパイの言葉にっちは少し考えていた。

「新しいのも入ったし、ちょっと楽しめるぞ?」

“新しいのも”っていう時、笠松センパイはオレをちらっと見た。
そして、ぐしゃぐしゃっとっちの頭を笠松センパイが撫でると
「分かったから!!」とっちは頬を膨らませた。



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