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【合同企画】相合い傘

第1章 ノクターン


「ココじゃ目立つから、場所変えたいんスけど。」
「何で?サッサと話せば済む事でしょ?」
「傘。返したいんスけど、どうしたら良いっスか?」
「じゃあ、放課後体育館に取りに行くから。」

女のコ達からの黒い視線を物ともせずに堂々とした姿は、凛々しいの一言。
だけど、その強さはハラハラする。

「リョーカイっス!じゃあ体育館で!」

わざと明るく振舞った。
まるで、男友達にする様に“特別”なんかじゃないんだって態度で。
でなきゃ、っちが何かされるんじゃないかって気が気じゃない。
オレのファンのコっても、皆んながみんな“イイコ”ばかりじゃない。
中にはちょっと度が過ぎる“イジワル”なコだって居る。
オレと別れた直後から何か始まるのではないかって、
っちの後ろ姿を確認したい気持ちもあるけど、
そんなコトをしてしまうと火に油を注ぐ様なもんだってコト判るから、
敢えて振り返らずに真っ直ぐ歩く。

全然、そんな気分じゃ無いのに。
営業スマイルを顔に貼り付けて。
オレだってたまに…疲れる。

(“黄瀬涼太”を見てくれる人現れるんスかね…)

窓の外。
相変わらずの雨にオレは溜め息を吐く。

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