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【合同企画】相合い傘

第3章 Candy Rain


「海斗!!」

水族館の外に出ると直ぐに見えた後ろ姿に声をかけた。
振り返った海斗は気まずそうに笑いよった。

「待てや。なんで責めんの?お前の彼女やって分かっとって手ぇ出したのはワシやで?」
「俺さ…翔一に紹介した時、こうなるのなんか分かってた気がすんだよ。」

取り乱す訳でもなく、何時も通りの海斗。

「待ってよ。分かってたって何?」

の問いかけに海斗はを愛しそうに見つめて頭を撫でた。

「初めてを紹介した時。翔一、見惚れてたろ?
んで、も。何も知らねぇ奴なら気付かない程のほんの一瞬だったけど。
その瞬間、お前らが一目惚れしたって思ったよ。」

穏やかに微笑む海斗。

「図書室のもさ…汚ねえかもしれないけど。気になっての後ついていったんだ。
そしたら、翔一と一緒に居るの目撃してさ。」

今度は切なそうに笑う。

「気付いとって黙ってたんか?なんでや!責めてええんで?それ位の覚悟ワシかて…

その時やった。
小さい男の子が飛んでいく風船を追いかけて車道に駆けていくのが目に入った。
向こうからは大型トラックがそのスピードを緩める事なく迫っている。
一目散に駆け出した海斗。
嫌な予感がしてワシも海斗の後を追う。
とうとう車道に飛び出した男の子をかばう様に胸に抱いた海斗。
ワシは思いっきり海斗の腕を引き寄せた。

ドンッ!!!!!

背中に大きな衝撃を受けると同時に響いた大きなクラクション。

「海斗!!翔一!!」

が真っ青な顔で駆け寄ってくる。
腕の中に居る友達と小さい男の子。

「いって〜…」

腕の中で海斗が身じろいで声を上げた。
二人が無事やった事にワシは安堵の息を吐く。


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