第3章 Candy Rain
朝練が終わって教室へ向かう途中。
一緒に登校してきた二人と会うた。
「おはようさん。」
「おはよう。」
ワシの挨拶に対しては微笑むだけで言葉は返さんかった。
実際は微笑むやなんて言えるような表情や無かったわ。
その表情は今にも泣きそうで、ワシは今すぐにでも抱き締めてやりたいと思うた。
「ごめん。私先に行くね。」
海斗に声を掛けワシの横を通り過ぎる時、
顔を俯けて視線を合わさんように駆けていった。
「変なヤツ…。」
の態度を必要以上に気にするでもなく海斗はワシに声を掛けてきた。
「なぁ、水族館どうする?」
「ああ…今週の土曜日なら1日休みや。」
「じゃあ今週の土曜日に行くか。」
「せやな。」
の事が気になってしゃあないワシは気もそぞろで、
海斗の話がよう耳に入らんで、返事も曖昧になってもうた。
教室に入って自分の席に着く。
カバンの中からすかさず携帯を取り出すと直ぐににメールをした。
『昼休み。図書室で待ってるわ。二人きりで話がしたい。』
から返信は無いまま昼休みを迎えた。