第3章 Candy Rain
海斗に隠した関係。
私と翔一を疑う事もせずに海斗は三人の時間を作り出す。
何時ものように三人でお昼を過ごしていると、
海斗はおもむろにポケットから紙切れを取り出した。
「なぁ…コレ。3枚あるんだけど、行かね?」
海斗がヒラヒラとさせている紙切れは水族館の入場券だった。
「水族館?」
「そ。水族館。期限もけっこう先だし。翔一の休みに合わせてさ。」
翔一と一瞬のアイコンタクト。
「ええよ。」
翔一の返事を待って私も了承の返事をした。
私達の返事に海斗は気分を良くしたのか、
鼻歌を歌いだした。
「チケットは当日に渡すな。翔一も休みが分かったら教ろよ。
は俺が迎えに行く。どうせ小母さんにも挨拶しときたいし。」
私に優しく微笑む海斗。
私が何も言葉を返せずに居るとガタンと物音を立てて翔一が席を立った。
「お熱いことで。」
まるで総てを拒絶するかの様な冷たい声。
その翔一が私の頭に手を伸ばすと髪の毛をそっと梳かした。
「ゴミ…付いてたわ。」
さっきの凍りついた様な声色が嘘の様に思える程、
柔らかい笑顔。
そんな翔一の様子を気にするでもなく海斗は「だっせぇ。」と
無邪気に笑った。