第3章 Candy Rain
「学校もあるし、泊まるわけにはいかんやろ。」
「だって…。」
「仮に泊まれたとしてや。何もせんと帰せる自信ないわ。」
言葉の意味を理解したが顔を真っ赤にした。
「なぁ? 別れるわけやあらへん。
ちーと辛抱するだけや。がしんどい時はワシも同じやって思えばええやろ?」
頷きはしたものもの様子は釈然とせん感じや。
「、ワシを呼んでみぃ。」
「え?」
「ええから。ワシを呼んでみ。」
「今吉君。」
「なんや他人行儀やな。」
「翔…一…。」
「良く出来ました。」
頭を撫でるとの顔を覗き込む様に顔を近付けた。
「…もう一度ワシの名前呼んでや。」
「翔一…好き。」
静かに閉じられた目を確認してワシはへキスをする。
唇を重ねただけの少し長い口吻は甘い余韻だけを残す。
の肩を掴んで抱き寄せる。
心の中でアイツへ謝罪しながらも。
ワシはを手放す事は出来そうに無い。
腕の中に感じるの体温。
出来ることなら閉じ込めてしまいたいと思うてまうワシはかなりの重症や。
の家の近くまで送り届けると、降り出した雨。
一人で差しとる傘が大きく感じるやなんて…
「。」
ワシの声は雨音に掻き消された。