第3章 Candy Rain
雨が降り出す前に家に到着した。
玄関のドアを開けてを招き入れる。
「どうぞ。」
「お邪魔します。」
ワシしか居らんのに、は挨拶をすると脱いだ靴を揃えた。
こう言う事を出来る女の子はええな…と思う。
「ソファーとかクッションとか無いけど。
ベッドの上でも座っといて。」
「うん。」
二人分の麦茶を持って部屋に行くと、は座らずに立っとった。
「座っとってええって言ったのに。」
「うん。でも、今吉君が来るの待ってたかったから。」
「アカンわ…何でそない可愛いコトするん。」
の言動はワシの男心をいちいち擽る。
ローテーブルへ麦茶を置いて、ベッドに腰掛けると漸く、も腰を降ろした。
しかも、ペタンとラグマットの上に。
「ベッドの上に座ってええよ?」
「ん…でも、ベッドに腰掛けるのって何だか落ち着かないし。」
「ほな…。」
ワシもの隣に腰を下ろす。
の中学時代。
ワシの中学時代。
他愛のない話をして、時計を見るともうすぐ22時になろうとしとった。
「?もう遅いから送ってくわ。」
ワシの言葉に泣きそうな顔をしたが俯いて首を横に振った。